山の中の名湯「山中温泉」
- 温泉
白鷺が見つけた名湯
平安時代末期、一羽の白鷺が痛めた足を流水で癒している姿を見つけた人が、その場所を掘ると薬師如来像が現れ、美しい温泉が湧き出たという伝説が残る山中温泉。開湯1300年を誇る歴史ある温泉です。奥の細道で知られる俳人・松尾芭蕉は、有馬温泉・草津温泉と並ぶ「扶桑(※)の三名湯」と讃え、9日間も滞在しました。緑豊かな山々に抱かれ、渓流の流れに寄り添う山中温泉は、四季折々の自然を楽しむこともできます。
(※)日本の別称の一つ。元々は古代中国における日本の別称といわれています。

山中温泉街の観光拠点「山中座」 写真提供:石川県観光連盟
鶴仙渓の散策も魅力
山中温泉は、石川県南西部、福井県と境を接する加賀市にあります。周辺は温泉が多く、同市内の山代温泉・片山津温泉と、小松市にある粟津温泉を合わせて加賀温泉郷と呼ばれています。その中でも一番内陸にある山中温泉は、鶴仙渓と呼ばれる渓谷沿いに温泉街が形成されており、遊歩道から奇岩などの渓谷美を楽しむことができるほか、総ヒノキ造りの「こおろぎ橋」、ユニークな形状の「あやとりはし」、レトロ調の「黒谷橋」など個性的な橋や、季節限定で設置される「川床」など散策を楽しむことができるスポットが多数存在します。

あやとりはし 写真提供:山中温泉観光協会
泉質と街並み
山中温泉の泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉。一般的に薬効が高いと言われる泉質で、「傷の湯」とも言われ古来より珍重されてきました。温泉街の中央付近には共同浴場、北陸風に呼ぶならば総湯として「菊の湯」があります。建物が男女別という珍しい様式で、名前は松尾芭蕉が山中温泉で詠んだ句「山中や 菊は手折らじ 湯の匂ひ」から取られています。近くには温泉情緒あふれる街並みがあり、「ゆげ街道」と呼ばれて親しまれています。

菊の湯(女湯) 写真提供:石川県観光連盟
天覧の大杉
近くにある菅原神社の境内にあるご神木4本のうち1本は栢野(かやの)大杉と呼ばれ、国の天然記念物に指定されています。樹齢約2300年とも言われ、幹の周囲は11m、高さは54mにもなる巨木です。1947(昭和22)年10月の昭和天皇北陸巡幸の際に昭和天皇がご覧になったことから、天覧の大杉とも呼ばれています。道路の向かい側には草団子で有名なお茶屋さんがあります(冬季休業)。山中温泉を訪れた際は足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

栢野大杉(右側) 写真提供:山中温泉観光協会
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