富山湾の豊かな海の恵みがもたらした「かまぼこ文化」
- 文化
「婚礼かまぼこ」という習慣
富山県では、婚礼や人生の様々な節目・お祝いなどに「かまぼこ」が使われることで有名です。日々の食卓にかまぼこが並んだり、紅白のかまぼこが縁起物としておせち料理に入っていたりするのは珍しいことではありませんが、鯛や鶴、亀、富士山などの縁起物をかたどった色とりどりのかまぼこが引出物として配られるのは富山県ならではの文化です。「天然の生け簀」とまで呼ばれる富山湾からの豊富な海の恵みがこのような独自の文化を育んだと言えます。

写真提供:(公社)とやま観光推進機構
板がない、富山の「巻きかまぼこ」
富山県のかまぼこ文化の独自性は、日常的に食べられているものにも表れています。すり身を板の上に盛りつけて成形する普通の「板かまぼこ」に対して富山のかまぼこは「板」がなく、板状に伸ばしたすり身を巻いて蒸して作られています。すり身をそのまま使った真っ白な巻きかまぼこの他、着色したすり身を巻き込んで渦のような模様をつけた「赤巻きかまぼこ」は富山の食卓にはなじみ深い食べ物となっています。

写真提供:(公社)とやま観光推進機構
富山の食を語るうえで欠かせない「巻きかまぼこ」
巻きかまぼこのルーツは、すり身に昆布を巻いて作る「昆布巻きかまぼこ」と言われています。富山県は昆布を用いる食文化が発達しており、「魚の昆布巻き」「昆布締め」など昆布が関わる料理がたくさん作られています。そのような中では魚のうまみに昆布のうまみを加えた「昆布巻きかまぼこ」が作られるようになったのも当然と言えるでしょう。その後手軽に食べるために昆布の代わりにすり身を使った皮で巻いたかまぼこも作られるようになり、これが現在の巻きかまぼことなったといわれています。

写真提供:(公社)とやま観光推進機構
芸術的な引出物の定番「細工かまぼこ」
富山のかまぼこで、もうひとつ代表的なものが「細工かまぼこ」です。これはすり身を色付けし縁起物の形にしたもので、婚礼の際の引出物などに使われます。「巻きかまぼこ」「昆布巻きかまぼこ」は日常に欠かせないものですが、「細工かまぼこ」はハレの日に欠かせないものです。引出物として持ち帰った細工かまぼこは切り分けて親戚・ご近所におすそ分けする習慣があり、「お福分け」と呼ばれています。お祝い事を皆で共有する素敵な習慣ですね。
細工かまぼこの多くは職人がひとつひとつを手づくりしています。伝統の鯛などの縁起物から猫やフルーツまで、抱えて持つような大きいものから小さいものまで、大きさも種類もたくさんあり、どれを買おうかと悩むのも楽しい時間です。富山県には細工かまぼこの手作り体験ができる施設もあります。富山に来たら「かまぼこ文化」に触れてみてはいかがでしょうか?

写真提供:(公社)とやま観光推進機構
かまぼこ文化
- とやま観光ナビ「細工かまぼこ」
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