写真提供:石川県観光連盟
石川県の冬の訪れを告げる伝統的発酵食品
「かぶら寿し」
- 美食
各家庭の味は千差万別―石川の冬の味覚
石川県の冬を代表する料理の一つである「かぶら寿し」とは、塩漬けにしたカブに塩漬けにしたブリを挟み、人参や鷹の爪などと一緒に米糀で漬け込んで発酵させた伝統的な発酵食品です。石川県では今でも手作りしてお正月に家族親戚と一緒に食べたり、近所に配ったりする家庭もあるほどです。冬の風物詩の一つとして「かぶら寿しがないと正月が始まらない」というほど定着しており、年の瀬には正月用品と共に売り出されます。風味や口当たりはカブの種類や熟成加減、塩の加減によって異なるため、お店や各家庭で作られる「かぶら寿し」の味は千差万別です。

かぶら寿し 写真提供:石川県観光連盟
ブリの到来を告げる雷鳴—ブリ起こし
北陸では、11月下旬頃からの冷たい雨と共に鳴り響く雷を「ブリ起こし」と呼びます。まるでこの雷を合図のように、脂ののった立派なブリが能登半島付近まで南下してきます。大きさによって名前を変えるブリは出世魚として知られる縁起物で、一説によれば加賀藩から徳川将軍家にも献上されていたと言われるほど珍重されています。そんな高級魚と時期を同じくして、寒さで甘みが増したカブの収穫も最盛期を迎えます。旬の食材同士を組み合わせて作られているのが「かぶら寿し」です。

能登寒ブリ 写真提供:石川県観光連盟
食べ応えある酒の肴—独特の味と香り
「かぶら寿し」は漬け込んでから一週間から10日ほどで食べられるようになり、何もつけずにそのままいただきます。分厚く食べ応えのあるカブは噛むたびに「ザクザク」といい音がして一層食欲を掻き立て、芯まで発酵しているため甘みや酸味をしっかりと味わうことができます。また、独特の味や発酵による香りから、酒の肴としても親しまれています。脂ののったブリの塩気と麹の香りは特に日本酒との相性が抜群です。

お酒とかぶら寿し 写真提供:石川県観光連盟
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