写真提供:若狭おばま観光協会
朝廷の食を支えた「御食国の鯖」と
発酵食品「へしこ」
- 美食
丹波高地を超える「西の鯖街道」
福井県の若狭地方は、昔からあわびや海草などの食材を奈良や京都に送り、朝廷の食を支えた「御食国(みけつくに)」の一つでした。「京は遠(とお)ても十八里(約70km)」と言われ、早ければ水揚げした翌日には京都に届けたそうです。鯖に一塩(ひとしお)して京都へ運ぶ道は「鯖街道」と呼ばれ、鉄道が敷設されるまで福井県の若狭地方と京都を結ぶ最短ルートでした。

写真提供:福井県観光連盟
食だけでなく、文化を運ぶ交流の道。
そんな若狭と京都との交易の拠点として発展した宿場町が『熊川宿』です。「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群 ~御食国若狭と鯖街道~」として日本遺産にも認定された伝統的な町並みを残す景観は、福井を代表する歴史的資源として当時のにぎわいを伝えています。「鯖街道」の歴史に思いを馳せながら巡ることで、伝統を守り伝える人々の営みを肌で感じることができるでしょう。

写真提供:福井県観光連盟
若狭の鯖は、獲れたてがうまいとは限らない
その昔、若狭から京の都へ鯖街道を使って鯖を運ぶ際に考えられた加工法に「鯖のへしこ」があります。保存食として古来より伝承されている若狭の名産品です。福井県の沿岸部では、海が荒れ漁に出られない日が多くなる冬場の貴重なタンパク源として、昔から各家庭で「へしこ」が作られてきました。
「へしこ」は毎年、秋から春先にかけて獲れる脂がのった鯖を糠に最低1年以上漬け込み作られます。夏を越えることで一気に発酵が進み、糠でタンパク質が分解されることによりアミノ酸の旨みが引き出されます。その塩辛さから、日本酒のあてやごはんのおかずとして親しまれてきました。近年ではアンチョビの代わりとしてパスタやカプレーゼなどの洋食にも使用されるなど、多彩なアレンジで楽しめる発酵食品となっています。

写真提供:福井県観光連盟
進化する福井の鯖
かつて鯖の一大産地だった福井県小浜市ですが、近年ほとんど水揚げがない状況となりました。そこで2016年に「鯖、復活」プロジェクトが開始され、小浜市内の産学官が一体となり鯖の養殖に取り組んでいます。現在養殖が行われているブランド鯖「よっぱらいサバ」は、地下水が湧き出る清らかな小浜の海で、酒粕入りのエサを食べて育っています。良質な脂とほのかにさわやかな香りを楽しめ、お刺身でも食べられることが特徴です。

写真提供:若狭おばま観光協会
朝廷の食を支えた「御食国の鯖」と発酵食品「へしこ」
御食国若狭おばま食文化館
http://www1.city.obama.fukui.jp/obm/mermaid/
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