独特の透明感と深みのある赤から生まれた芸術品
「若狭めのう細工」

日本における貴石細工のルーツ

若狭めのう細工は、福井県小浜市周辺で作られている石工品・貴石(きせき)細工です。「めのう」は、仏教の経典の中で「七宝」の一つとされ親しまれてきた美しい石です。
若狭めのう細工の特徴は、なんといっても炎のように鮮やかで半透明な赤い色彩です。その色彩は、独特の「焼き入れ」という工程によって生まれます。この技法により原石が茶色がかった深みのある赤に変わり、若狭めのう細工独特の味を引き出しているのです。お椀や箸置きなどの日用品だけでなく装飾品も作られ、贈答用としても珍重されています。

写真提供:福井県観光連盟

長い工程を経て生まれる独特な透明感

若狭めのう細工は、めのうの原石を原料とし、8つの工程を経て出来上がります。
石模様や色で、どのような装飾品として使えるかを確認する「検石(けんせき)」。原石を、造る細工の大きさに合わせて切断する「大切り」。鮮やかな赤を表現するために一定時間原石を放置する「野晒し」。灰の中に原石を置き、炭で焼く「焼き入れ」。石墨を使って形を描き、不要な部分を削る「小切り」。鉄矢(てつや)という釘をあてて、小槌で叩きながら、本格的に形を作り込んでいく「欠込み(かきこみ)」。その後、「削り」「磨き」の工程を経て仕上げます。最後の「磨き」の作業は、細かい装飾品などにおいては1ヶ月以上を要することもあります。この作業を丁寧に行うことで独特な透明感が生まれ、美しさが引き立てられるのです。

写真提供:福井県観光連盟

国内外でも注目を浴びる芸術品へ

若狭めのう細工の起源は諸説ありますが、概ね今から約270年以上前、職人が浪速の眼鏡屋で習得した技術をもとにしてめのうの玉造りを始めたのがきっかけと言われています。
その後、様々な試行錯誤の末に表現技法を広げることに成功し、玉造りだけでなく日用品や彫刻作品、アクセサリーなどの制作もするようになりました。
そうやって作られた若狭めのう細工の美しさは国内だけでなく海外でも注目を浴びるようになり、1976年には国の伝統工芸品として指定されました。今後も人々を魅了する芸術品であり続けることでしょう。

写真提供:福井県観光連盟


 

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