長い年月をかけて磨き上げられた
「輪島塗」
- 工芸
輪島地の粉(じのこ)を使用して作る漆器
石川県輪島市で生産される「輪島塗」は、強くて丈夫な上に芸術的な美しさを兼ね備えた高級漆器です。
たとえ壊れたとしても修理し使い続けることが出来るため、「一生もの」の逸品として知られています。
輪島塗の最も大きな特徴は下地に能登半島で採取される「珪藻土」を焼成(しょうせい)粉末にしたものが使われていることで、これにより「強度の高い下地」ができあがります。

写真提供:石川県観光連盟
輪島塗が憧れの品物へ
輪島塗の生産は17世紀頃から始まったとされています。江戸時代に日本海航路の重要な寄港地であったという海運の利を生かし、全国各地に広まり高級漆器の代名詞として知られるようになりました。
また、塗師屋(ぬしや)と呼ばれる今で言うと総合プロデューサーの役割にあたる人々が全国に広めたのも有名になった大きな要因です。この頃、漆塗りの膳椀揃い御膳が豪農や豪商といったお金持ちの象徴となり、輪島塗は憧れの対象となりました。

写真提供:石川県観光連盟
100を超える工程を経て完成する輪島塗
輪島塗で注目したいのはその完成までの製造工程の多さで、100以上の製造工程を経てひとつの漆器を仕上げていきます。全てを一人の職人が行うのではなく、それぞれの作業をそれぞれの職人が分担して行い効率よく生産されていきます。多くの職人たちの手仕事によって作られた輪島塗はひとつとして同じものはなく、その丁寧さ、細やかさこそが高級漆器として位置付けられている理由なのかもしれません。また、多くの注文に素早く対応できるように工程ごとに分業している職人たちの取りまとめ役となっていたのが塗師屋でした。輪島塗が産地としてこれだけの規模になったのも「塗師屋のプロデュース力」と「職人の技術」があったからこそだとも言われています。

写真提供:石川県観光連盟
世界で唯一の「石川県輪島漆芸美術館」
輪島塗の歴史や特徴を学ぶには、「石川県輪島漆芸美術館」を訪れてみてはいかがでしょうか。世界で唯一の漆芸専門美術館として、また世界に誇る優れた漆文化の発信拠点として1991年に開館しました。
館内には輪島塗の歴史や工程を学べるパネルなども設置してあり、人間国宝から全国展の気鋭作家まで、近現代の漆芸コレクションや漆芸技法の奥深い魅力を紹介しています。また、手作り体験メニューも3種類用意されていて、その一つ「沈金箸 色付体験」では、好みの色や文様・金属粉を組み合わせて世界に一膳しかない自分だけのお箸を作る事ができます。

写真提供:石川県観光連盟
石川県輪島漆芸美術館
- 所在地
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石川県輪島市水守町四十苅11番地
- アクセス
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JR和倉温泉駅から車で約70分
https://www.city.wajima.ishikawa.jp/art/home.html
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