伝統を重んじながらも時代に合わせて変化する高岡のものづくり

銅器づくりで国内シェア90%以上を占める、鋳造(ちゅうぞう)のまち

およそ400年前からつづく鋳物の町、富山県高岡市でつくられる「高岡銅器」。その歴史は古く、江戸時代初期に加賀藩二代目藩主・前田利長公が城下の繁栄を図るため、7人の鋳物師を金屋町に迎え入れたことからはじまります。
当初は鉄による農具が主体でしたが、江戸時代中頃からは唐金鋳物の需要が増加。素材も銅、錫、青銅、真鍮(しんちゅう)等の合金やアルミニウムへと多岐にわたり、仏具や花瓶、茶道具、装飾金具として国内外に広く普及し、高岡銅器の美術的価値が全国的に知られるようになりました。

金屋町

高度な技術を持つ職人たちによる「完全分業制」

高岡には原型、鋳造、仕上げ、着色、彫金と金属加工のあらゆる技術が集まっており、複数の製作所や職人が工程を分担してつくるのが基本です。ひとつの町だけで分業制が成り立つのは珍しいことで、高岡の銅器づくりの強みとなっています。

鋳物工場(写真提供:とやま観光推進機構)

柔らかい素材「錫」を使って新たな境地へ

美しい銀色の輝きを放つ「錫」は、金・銀に次ぐ高価な金属です。酸化しにくく、抗菌作用に優れているため、古くは紀元前1500年頃の古代エジプト王朝でも珍重されていました。日本には奈良時代に伝来し、正倉院に宝物として収められています。錫の器に入れた水は腐らない、酒の風味がまろやかになる等と評価され、古くから茶器や酒器の材料に用いられてきました。
純度100%の錫は、手で簡単に曲げる事ができ、この特性を生かした器やテーブルウェア、花器など新たな製品がつくられ、暮らしに彩りを添えています。

すずがみ(シマタニ昇龍工房 写真提供:高岡市観光協会)

高岡のものづくりを実際に体験してみる

近年では、職人たちが伝統を守り、支え、受け継いできた職人の技を間近に感じられる施設が増えています。錫の特製を生かしたアクセサリーや小皿、トレー、ぐい呑みづくり体験では、サポートを受けながら作業できるので、知識や経験がなくてもちょっとした職人気分を味わえます。自分で作った器を使って飲むお酒は格別です。

鋳物体験(利三郎 写真提供:高岡市観光協会)



TOUR
あなたにおすすめのツアー

もっと見る

STORY
その他のストーリーを
チェック

TOPに戻る

※写真はすべてイメージです