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九谷焼の魅力と伝統を識る
- 工芸
色鮮やかな「九谷五彩」
石川県を代表する焼き物といえば「九谷焼」。呉須(ごす)と呼ばれる寒色系の黒色で線描き(骨描き)し、「五彩」と呼ばれる赤、黄、緑、紫、紺青による色鮮やかで華やかな上絵付が特徴です。5色の色絵の具をフル活用することから「五彩手」とも呼ばれます。器の中央に作品のモチーフを絵画的・写実的に描くことも特徴で、五彩によって描かれる色絵の技法は、現代まで脈々と受け継がれています。

写真提供:石川県観光連盟
江戸時代前期 -「古九谷」の時代
「九谷焼」が誕生したのは、江戸時代前期のこと。加賀藩の分家である大聖寺藩の九谷村で、磁器の原料となる陶石が発見されたことがきっかけとなり、大聖寺藩の武士、後藤才次郎を中心として生産が始まったといわれています。この時期に作られた九谷焼は「古九谷」と呼ばれ、その青手や色絵の美しい絵付けのスタイルとともに、磁器の職人や知識人たちの間で特別視される名作として、大切に受け伝えられてきました。しかし、古九谷は制作開始からおよそ数十年後に、突如として生産が終了。その理由の明確な記録はなく、現在まで謎として残されています。

写真提供:石川県観光連盟
江戸時代後期から明治へ -「再興九谷」の時代
「江戸時代後期、大聖寺藩や加賀藩領内で古九谷の復活に向けて、大々的に九谷焼の窯々が興った時期です。古九谷の制作中止から約100年後、加賀藩領内の金沢や小松で磁器生産が再開。加賀藩は京都の磁器職人を招いて技術指導を行い、これを機に九谷焼が息を吹き返しました。古九谷の独創的なデザインに惚れ込み、なかでも青手古九谷復活を強く願って窯を築いた「吉田屋窯」や、赤の色絵の具の特性を用いて細かい描き込みを器全体に施す赤絵細密画の「宮本屋窯」、主に洋絵具を用い細密な描法の彩色金襴手の九谷庄三など加賀各地に窯が作られました。この時代に生まれた九谷焼を「再興九谷」と呼びます。

写真提供:石川県観光連盟
近代、そして現代の「九谷焼」へ
昭和時代後期から現代は、伝統的な美術工芸品としてのブランドを確立した九谷焼が、現代芸術の要素を取り入れて、「工芸品」の枠を超えた「美術品」として制作されるようになりました。また、時代性やライフスタイルにあわせた様々なデザインが生み出されることも現代の九谷焼の特徴です。九谷焼女流作家が伝統的な絵柄を手爪に描く「九谷ネイル」や、転写シールを貼って焼き付ける可愛い絵柄の「クタニシール」など、伝統工芸を身近に感じられる体験メニューが増えています。

クタニシール
日本で唯一の九谷焼専門の美術館
加賀市にある「石川県九谷焼美術館」は日本で唯一の九谷焼の専門美術館(登録博物館)。青手の間、色絵五彩の間、赤絵金襴の間など、雰囲気の異なった展示空間を持ち、古九谷をはじめとして、およそ360年にわたる九谷焼の名品を展示・紹介しています。古九谷の杜親水公園(こくたにのもりしんすいこうえん)から、館内のミニ庭園まで、一貫性を持たせて庭園美術館として楽しむことができます。

写真提供:石川県観光連盟
石川県九谷焼美術館
- 所在地
- 石川県加賀市大聖寺地方町1-10-13
http://www.kutani-mus.jp/ja/
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